土地を買おうと決めてから赴いたのは、法務局、町役場、県の土木事務所である。法務局へは土地の登記簿謄本をもらいに行った。その土地に抵当権が設定されていないか調べるためだ。そして町役場では水道の状況を聞き、浄化槽の補助の説明などをしてもらった。当時はまだ合併される前で町役場はのんびりした雰囲気。この町内に家を建てようと思う一般市民だというとどの部署でもとても親切にしてくれた。
県の土木事務所へは売り主の不動産屋と我々の不動産屋とともに赴いた。もちろん「都市計画法」云々の確認である。
この土地は市街化調整区域であり本来新規の住宅を建てることはできない。それが線引き前に「宅地」であったことから「市街化調整区域における開発・建築許可基準の緩和」という特別処置が適用される。しかし、実際に家を建てるためにはいくつかの要件を満たしていなくてはならない。
その要件とは地域の要件、土地の要件、建物の要件である。土地は地目が「宅地」であるので問題ない。建物は専用住宅であること、そして大きさなどが決められている。大きさはこれに従って建てればいいのでこちらも大丈夫。問題は地域の要件である。「原則50以上の建物が連たんしている既存集落内」であること。それは我々だけでは判断できるものではなかった。不動産屋を交え、県の確認してもらうことにしたのだ。
県の担当者は不動産屋が準備した資料を確認し、「50戸以上連たんしているので大丈夫でしょう」と言った。一安心。「ただし、この見解は県の担当者の判断であって、今後町が合併し、市になり、市の管轄になればどう判断されるかわかりません。合併する前に確認申請を出した方がよいでしょう」。いかにも役所的発言。要するに「私がいる間は大丈夫だが、私が担当でなくなったら責任持てません」ということだ。
合併するまでには1年ある。とりあえずそれまでに確認申請を出せるようにがんばろうということになった。
役所での確認が終わった後は、不動産屋と水道工事の分担や隣地との境界の処理、側溝もなかったので側溝を誰が作るかなどの確認を行った。水道工事や側溝工事に関しては契約の際の重要事項説明書に別紙として付け加えてもらった。このような確認作業は電話など口頭ではなく、すべてメールで行った。後々、その経過が確認でき、言った、言わない問答がないように文書で残しておきたかったのだ。
不動産屋と確認作業を行う中、借り入れの銀行周りも行った。自己資金をすべて建物に使いたかったため、土地には借り入れ金を使用しようと思っていた。建物は建てている間に「これも加えたい、あれも入れたい」と増える可能性があるので、融通が効くようにしておきたかった。
銀行周りについては省くが一つ言えることは、田舎に家を建てるときは地元の金融機関を利用した方がいいということだ。我々が最初に相談に行ったのは大手都銀だった。「市街化調整区域」と言っただけで、担当者の手帳は閉じられ、「JAでも行かれたらどうですか」ときた。最近になって「当行の住宅ローンはお得です」というチラシが来たりするが、あのときの態度を思うとチラシをそのまま送り返してやろうかという気になる。

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